FC2ブログ

記事一覧

冬の花火 11

司が思っている以上の変化は望めなかったが、つくしの友達と言うポジションは手に入れた。

そして季節は巡り、楓の一周忌を迎える事に……。
今回も旬は帰国して、初めてリホームした新しい屋敷へと足を踏み入れた。

「「「「お帰りなさいませ、旬様」」」」

「只今、滝沢さん。皆さん」

一年前よりも更に精悍になって帰ってきた旬を、感慨深げに迎える執事とメイド達。

「つくし様と皆様はリビングでお待ちです」

その言葉に顔が綻ぶと自然と足も早くなる。

リビングのドアを開けると親父達と、母が微笑んで迎えてくれた。

「よう!旬。益々男前になったな」

「随分、センスが磨かれたね」

「彼女は出来たのか?」

三者三様に声を掛けてくる中、母は一人涙ぐんで俺を見詰めていた。

「母さん、只今。あきらさん、類さん、総さん、只今」

「「「お帰り、旬」」」

「……お帰りなさい、旬」

旬はつくしをハグすると、改めてその小ささに驚く。
旬にとって、母のつくしは誰よりも強くて大きい存在だったから、こんなにも小さかったのかと改めて感じて胸が詰まった。

そんな親子を3人も感慨を持って優しい眼差しで見詰めている。

感激の再会も漸く落ち着いて、お茶を飲みながら留学先の事やら、母の財団の事やらの話しで盛り上がり、そうこうして総さんが爆弾を落とした。

「旬、知ってるか?お前の親父がつくしにアプローチしてるんだぜ?」

「はい?何で……………」

俺は呆気に取られた。
母を見ると、顔をしかめて総さんの腕を叩いて抗議している。

「もう!総ったら、止めてよね。道明寺とは只の茶飲み友達なんだからね!旬が驚いてるじゃないの!」

アメリカに商談に来る度に、大学迄来ては何かと俺を気にかけている様子に、俺の心もこの頃は少しだけだが、道明寺司を親父として認め初めていた。

「へぇ~そうなんだ。俺は反対はしないよ。母さんが誰と付き合おうとさ。父さん達がしっかり見張っててくれるって信じてるし……」

「ほう~旬も大人になったな。昔とは違うじゃないか」

あきらさんのからかう素振りに、昔が束の間甦る。

すると、すかさず類さんがフォローしてくれた。

「思春期だったんだ、仕方ないさ。全てはタイミングだよ」

母はと見ると静かに頷いている。
俺はやっと肩の荷が降りた気がした。

「母さん、俺は本気だよ。母さんが幸せになるんなら反対はしない。其が誰であってもね、母さんを大切にしてくれる人なら……」

「旬……………」


この場での話が父の司の耳に入っている事等知らないまま、祖母の一周忌を迎えた。

鎌倉にある道明寺家の菩提寺での法要を終えて、寺の部屋で有名な料亭の仕出し弁当を親族と家族で食した。

父の挨拶の言葉で法要の儀式は終わり、俺は父の誘いで父の車に便乗した。

「どうだ、久し振りの日本は?」

「結構、変わってたり、変わっていなかったりしてますね」

「ククッ…何だ其?」

「アメリカの時間と、ここの時間は違うって思うんです。ここはいつも急いでる気がするんです」

「そうかも知れねぇな。俺はアメリカと日本を行き来してるから、お前ほど感じねぇが言われて見ればそうかも知れねぇ」

「変わらないのは母だけです」

「お前は幸せだよな。彼奴が母親でよ。俺は結局母親とは最後まで理解し会え無かった」

父は何処か遠くを見詰めていた。
その顔は孤独で寂しげで、初めて一人の男としての孤独を見た気がした。

「旬、お前も20歳になったんだよな?一杯付き合わないか?」

そんな父の言葉に俺は頷くと、父と共にメープルホテルの最上階のバーラウンジに初めて足を踏み入れた。

其所は別世界で正しく大人の社交場で、俺は正直内心でビビッていたが、何とか態度には出さない様に意識していた。

「酒はもう飲んだのか?」

「未だです……」

「じゃあ、注文は俺に任せてくれるか?」

「あ、はい」

司は、自分にはウィスキーのロックを旬には生ビールを頼んだ。

「アメリカじゃあ18から飲酒はOKだろう?何故飲まなかったんだ?」

「母さんが、酒は20歳からって煩かったんで……」

恥ずかしそうにしている旬に、司は頬笑む。
見ていない所で好きにすればいいのに、真面目な息子は母の教えを守っているのかと、微笑ましく思えたからだ。

「改めて、成人おめでとう」

「あ、ありがとうございます」

カチッとグラスが鳴って目が合うと、初めてのアルコールを口にした。

「うわっ!苦っ………」

「ハッハッハ……体質は母親に似たのかもな」

思いっきり顔をしかめてる旬に笑いかける司。

「グヘェッ!良くこんなに苦い物を飲みますね」

父は笑うと、もう少し飲みやすいカクテルを注文してくれた。

父が煙草に火を付け吸う様は格好良く、思わず見惚れる程で、つくづくこの人が俺の父親なのかと信じられない気持ちになる。

「……それで、母さんとは何処まで進展してるんですか?」

流し目で俺を見ると、父は微かに顔をしかめた。

「お前はどうなんだ?俺と彼奴が復縁しても良いと思っているのか?」

「俺は母さんが幸せになってくれるなら、其が父さんだったとしても良いと思ってる」

「……そうか、お前はいい母親に育てられて良かったな」


「頑張れよ……父さん」

聞こえるか聞こえないかの声でそう言うと、旬は真っ赤に染まった顔を背けた。

「………おう!サンキュー」

父はそう言うと破顔一笑した。


司と旬の間に確かな血の繋がりと言うのか、親子としての絆を感じた一瞬だった。

『もう二度と俺は間違えねぇ。つくしと旬と家族になるんだ。残りの人生は二人の為に生きる!』

司の瞳には昔の様な煌めきが戻っていた。







コメント

No title

おはようございます。
今週はなぜか長く感じました。
やっと週末だ~今日1日頑張ろう!

旬君は心身ともにしっかり成長し、実に頼もしい。
今回は司が家族を意識する
良い機会になりましたね。
楓も安心して見守ってくれているでしょう。

No title

キャットチビさん、おはようございます。
更新ありがとうございます。

司の母、楓の1周忌。
NYから旬も帰国。
更に男らしく成長を遂げてる旬を一同が出迎え。
たくましくなったんだよねぇ。
父である司も参加。
皆がつくし、旬を見守っているんだよねぇ。
その旬を連れて父親である類が誘ったようで。
親子でお酒をなんですが、さすが母であるつくしですねぇ。
20まではお酒を禁止していたようで。
親子で酌み交わす酒。
20歳のお祝いをする司。
旬もちちである司と話しなどして、悪い印象はないようで・・。
司はつくしと旬との家族を夢見ていますねぇ。
暖かい家庭を・・・
もう二度と間違いを起こさないと・・・

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Re: 今晩は😊

まあむさん
漸く秋日和になりましたね。
朝晩の気温差が激しいと、体力の消耗もいつも以上だそうで、私は今週はずっと眠かったです。
明日からのお休み、しっかり体休めて下さいね。

息子としての旬と対峙する事で、家庭の良さを見つめ直す事になっているのでは?
つくしを落とすなら息子の旬の存在は無視出来ませんからね。
コメントありがとうございます。

Re: こんばんは😃

timさん
早いもので楓の一周忌を迎えた道明寺家。
跡継ぎの旬も益々男らしく人としても成長していて、頼もしい限りですね。
そんな息子と20歳になって初めてのお酒を飲む機会に恵まれた司。
自分とは違って母親とのコミュニケーションばっちりの旬に、昔を思い感傷的になっていた様ですね。
少しずつ親子てしての距離を縮めて行く二人。
つくしを落とすには旬は絶対ですから………。
さて、次の一手はどうするのか?
コメントありがとうございます。

Re: 今晩は😃

J**さん
類達のアドバイス通りに少しずつ、つくしとの距離を縮めて行く司。
でも、最難関は息子の旬なんですよね。
その旬との間にも理解を深めて行く司。
もう一度家族としてやり直す為には避けては通れない関門の一つでしょうから。
さて、次はどうする司?
コメントありがとうございます。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

キャットチビ

Author:キャットチビ
猫と暮らしつつ、4年前からヤフーブログで二次小説を書いています。
今回、ヤフーブログの閉鎖に伴い此方へお引っ越しして来ました。
宮を中心に書いていましたが、今は花男をメインにしています。
ポリシーはつくしが幸せになる事です!
古くからの方も新しい方も、此れからどうぞ宜しくお願いします🙇

カテゴリ